成年後見制度利用促進基本計画に関する連続学習会(第3回)

2017年11月6日に日本弁護士連合会が開催した成年後見制度利用促進基本計画に関する連続学習会(第3回)「成年後見制度と意思決定支援」に参加してきました。
この学習会で日本におけるこの領域の第一人者である水島俊彦弁護士の基調報告を聞くことができました。

(題目)
「意思決定支援をめぐる日本と海外の動向~成年後見制度利用促進基本計画・意思決定支援ガイドラインを読み解く~」
(報告概要)
○なぜ「意思決定支援」への関心が高まりつつあるのか?
2014年1月20日障がいのある人の権利に関する条約(障害者権利条約)を日本が批准しました。
この条約では、支援付き意思決定(意思決定支援)の理念が強調されており、批准国である日本は成年後見制度を含む代行決定制度から「支援付き意思決定」制度への転換が求めら れています。
○障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドライン(H29.3.31厚生労働省)について
意思決定支援とは、
(目的)
自ら意思を決定することに困難を抱える障害者が、日常生活や社会生活に関して自らの意思が反映された生活を送ることができるように
(手段)
①可能な限り本人が自ら意思決定できるように支援し、
②本人の意思の確認や意思及び選好を推定し、
③支援を尽くしても本人の意思及び選好推定が困難な場合には、最後の手段として本人の最善の利益を検討するために事業者の職員が行う支援の行為及び仕組み
このうち①と②については、本人意思と伴走する(本来型)意思決定支援(⇒expressed wish)であるが
③については、最善の利益に基づく代理代行決定(⇒best interest)である。

「最善の利益」に基づく「意思決定支援」では、本人意思が支援者の意思に引っ張られる恐れがある。
よって①、②を追及することが、真に本人意思の尊重となる。

2017年11月16日