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自筆証書遺言書保管制度

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2020年から自筆証書遺言書保管制度がスタートしています。実際に自筆証書遺言書を作成し、東京法務局に手続きに行ってきました。

一般に広く利用される遺言書は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。自筆証書遺言は、紙にペンで遺言内容を記し、押印したもので、気軽に作成することができる半面、保管場所が決まっていないことから、相続人に発見されなかったり、改ざんや隠ぺいされたりするリスクもありまする。また、自筆証書遺言に基づき相続手続きを進めるためには、発見された自筆証書遺言を家庭裁判所で検認してもらう必要がああります。
一方、公正証書遺言とは、2人の証人立ち会いの下、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する遺言で、作成した遺言書は公証役場で保管されます。公正証書遺言は、自筆証書遺言のような改ざんや紛失・隠ぺいのリスクはなく、形式不備で無効になる可能性もなく、遺言書の開封時に家庭裁判所の検認も不要であす。しかし公正証書遺言のデメリットは、公証役場での公正証書遺言作成には証人2人の立ち合いが必要であること、また公正証書遺言作成の手数料として、相続財産に応じた費用を負担しなければならないことです。
これまでの自筆証書遺言と公正証書遺言のデメリットを克服する制度として2020年から始まったのが、自筆証書遺言書保管制度です。これは自筆証書遺言を法務局が管理・保管するもので、さらに死亡時通知を利用すれば、遺言者の死亡を法務局が確認すると、届出がされた相続人等に対して法務局から通知が行きます。この制度によって、自筆証書遺言の改ざんや紛失・隠ぺいのリスクを回避することができるようになり、また法務局で手続きには公正証書遺言のような証人の手配は不要で、費用も3,900円と公正証書遺言の手数料と比べると安価です。

実際に法務局で手続きを行うには、インターネット等から面談予約を取ります。私の遺言書はシンプルなものでしたので、法務局での確認作業等含め30分程度で完了しました。法務局の窓口の方も親切で分かりやすい説明をしていただけます。

ぜひご活用をご検討ください。

2022年04月21日

認知症を考えるセミナー

 

テキスト出版の取材のためSOMPOケア株式会社に取材に行きました。同社が介護事業に参入するにあたって「介護サービス」とは何かを社外の有識者を交えて行った議論に「介護サービスの目的は、介護が必要な人の自立を支援することになる。自立支援とは、心身の能力に応じて利用者のQuality of Lifeを高め、最後まで自分らしく尊厳を保って暮らし続けるような支援を意味する」とありました。これは当会が目指す方向と同じです。

また「住宅」(箱)と「住まい」(場所や構成員への愛着を含んだ概念)を別のものと考え、人が究極的に求めるものは「住まい」をであり、単なる「住宅」でなく「住まい」を提供したいという姿勢は、同社のサービス付き高齢者住宅におけるサービスにもよく反映されています。国土交通省が所管するサービス付き高齢者住宅は、形式要件として「安否確認」と「生活相談」が付帯していますが、提供されるサービスの質は事業者によって異なり、単なる「住宅」の延長と考えている事業者と、「住まい」として介護サービスも伴うものと考えている事業者によって、入居者の「暮らしの質」に差が出ています。

同社が主催するオンラインセミナーの案内をお知らせします。

https://www.sompo-hd.com/~/media/hd/files/company/elderly/seminar2020.pdf

2020年09月05日

日本弁護士連合会主催の成年後見制度利用促進基本計画に関する連続勉強会(第4回)

2017年12月5日に開催された日本弁護士連合会主催の成年後見制度利用促進基本計画に関する連続勉強会(第4回)成年後見人等の不正防止策―後見制度支援信託を代替する預金等―に参加してきました。

利用促進計画と不正防止効果
弁護士 堀江佳史
・信託銀行が提供する後見制度支援信託には、
①本人の自己決定の尊重という理念に反する可能性(限られた金融機関しか取り扱わない)、
②十分な後見監督がなされない可能性、
③身上監護事務が軽視される可能性といった問題点がある。
・こういった問題点の存在が、平成24年度以降の後見申立件数の減少に繋がっているのではないか。(尊財会コメント:後見申立件数の減少の原因を後見制度支援信託に結びつけるのは無理がある。被後見人の人権保護、後見人による横領などより直接的な問題があると思料。)
・成年後見人による不正防止を「後見制度支援信託」だけに頼らない方策が必要であり、複数の成年後見人を選任し、権限の共同行使の定めを置くことも一案。

成年後見人等の不正防止策-後見制度支援信託を代替する預金等-
青山学院大学教授 大垣尚司
・「後見制度支援預金」は、導入に法的・技術的な障害があるわけではない。
・それなのに業界全体が消極的なのは、それが「もうけにつながらないビジネス」であることに尽きる。構造改革の流れとも相容れず。
・このため金融機関全体に対して自主的に積極的な取組みを望むことは難しい。
本計画に従って業界団体レベルで標準的な枠組みができ、最大公約数的対応が進む可能性に一縷の望み。
・一方、後見制度支援信託・預金は家庭裁判所に過度な負担が生じる仕組みなので、よりサスティナブルな仕組みを構築する必要がある。
・銀行法や公益信託の改正により新たな仕組みを工夫する環境が整ってきている。銀行等以外の担い手による展開にも期待。

2018年12月05日

「成年後見制度の利用実態把握及び法人後見の活用に関する研究」の報告書

弊会専務理事が委員として参加しました厚生労働省平成29年度障害者福祉推進事業「成年後見制度の利用実態把握及び法人後見の活用に関する研究」の報告書が公表されました。
このなかに興味深い調査結果があります。

〇後見人の被後見人に対する面会頻度が「年1-2回」「ほぼ面会に来ない」の割合は親が17.2%であるのに対して弁護士が76.6%
〇後見人の被後見人に対する1回の面会時間が「10分以下」の割合が、親が3%であるのに対して弁護士は25%

家庭裁判所による法定後見人の選任については、親族間の財産分与に伴うトラブルを避けるために、親族後見人でなく弁護士のような専門職後見人を選任する割合が高くなっています。
選任されるまで一度も会ったことのない弁護士等の専門職後見人が、上記のような被後見人との接触頻度では、被後見人に対する理解が進み、被後見人の意思を反映した後見活動が行えると到底思えません。
こういう事態を避けるためにも、任意後見制度の活用が求められます。

2018年04月17日
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