東京大学市民後見人養成講フォローアップ研修

東京大学市民後見人養成講フォローアップ研修に、参加してきました。
このなかで、内閣府の須田参事官からの報告が興味深かったので情報共有します。

今年の1月にまとめられた「成年後見制度利用促進委員会意見」に、「中長期的な検討課題」として次のような記載があります。
「・・・・障害者の権利に関する条約の批准など国際的動向を踏まえ、本人の意思決定支援の尊重の観点からは、現行の成年後見制度の三類型の在り方を含め、本人が、必要な支援を、必要な期間、必要な場面に限定して利用できるよう、制度を改善すべきであるなどの指摘もされた・・・・」

すなわち、日本の現行の法定後見制度は、本人の権利の制限(特に後見人による取消権の行使)等の面から障害者の権利に関する条約が求めている、「障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保する」という理念に反しているとの見解もあり、今回は制度変更を行わず運営面で改善にとどめるが、次回の制度改正時には法定後見制度の三類型(後見・補佐・補助)を見直す可能性があるとのコメントがありました。

また、成年後見制度利用促進基本計画のなかで、不正防止の徹底と利用しやすさとの調和が課題とされており、使い勝手の悪いとの指摘のある「後見制度支援信託」に、並立・代替する新たな方策の検討が進められています。

具体的には、成年被後見人(本人)名義の口座を、日常的に使用する①小口預金口座と、通常使用しない②大口預金口座に分け、①小口預金口座は後見人の判断で引出しが可能とするものの、②大口預金口座は後見人に加え後見
監督人等の同意がなければ、引出しができない仕組みが考えられているようです。
城南信用金庫では既に商品化されているようです。

遠藤英嗣弁護士は、障害者の権利保護の面からも、本人の権利の制限に考慮した「任意後見制度」の一層の普及が必要とコメントされていましたが、同感です。(代田)

2017年07月08日