本文へスキップ

Institute of Asset Management to Preserve Human Dignity

これまでに寄せられたご相談

事例6

ご相談者
 60代 女性
 現在、認知症を患っている方の、親族及び近親者の方
お問合わせ内容
 父は80歳を越え認知症で、私も弟も60歳代です。
 弟は、すでに他界した母に甘やかされて育ったため、父の遺産をもらうことばかり考えています。
 今は私が父のお金の管理をしていますが、時々、弟がお金を無心に来て、断ると怒鳴って脅されます。
 父も弟には甘い面があり、口では弟には遺産を渡さないと言いますが、遺言を書くことを嫌がっています。
 父の預貯金や保険がまとまった額あり、その他に土地の名義等もあります。
 弟から遺産を守ることはできかるか、不安に思っています。
 どのように進めていけばよいでしょうか。
回答
 お伺いした話を前提にすると、お父上は遺言を書くことを嫌がられているということですので(また認知症を
 患われているということですと、はたして有効な遺言が書けるのかという問題もあります)、遺言を通じて
 弟さんからお父上の財産を守ることは難しいと思われますが、本件では、お父上の財産を守るために成年後見制度を
 利用することが考えられます。
 成年後見制度には、任意後見契約と法定後見の二つがありますが、お父上が認知症と診断されているのであれば、
 本人に判断能力があることを前提とする任意後見契約を利用することは困難であり、裁判所に対して後見人選任の
 申し立てを行うことになります。
 後見人が選任された場合、後見人がお父上の財産の管理をすることになりますので、弟さんがお父上にお金の無心を
 したとしても、後見人がこれに応じない限りお父上の財産が流出することはありません。(そして通常は、後見人は
 弟さんの要求には応じないでしょう。)
 後見人を選任した場合、後見人に対する報酬がお父上の財産から支払われますので、その分はお父上の財産が
 減少することになりますが、弟さんからお父上の財産を守ることはできます。ただし、お父上が亡くなられた場合
 には、弟さんも法定相続分に応じた財産を相続する権利を有します。なお、弟さんを相続人の中から完全に排除する
 (いわゆる相続人排除)ことは、実際上はかなり難しいとお考えください。 後見人は裁判所が選任しますが、
 お父上の財産額を前提にすると、本件では親族が後見人に選ばれることはなく、弁護士等の専門家が選任される
 事案と思われます。
 後見人選任申し立ての方法については、お近くの家庭裁判所の窓口でも相談に乗ってもらえると思いますので、
 一度ご相談に行かれてみてはいかがでしょうか。

事例5

ご相談者
 60代 男性
 ご本人の認知症の、将来への備えをされたい方
お問合わせ内容
 将来に備え、後見人を指名しておきたいので、アドバイスが欲しい
詳細
 60歳台後半の男性です。
 今は元気ですが、今後の事を考えると、今から後見人を指名しておきたいと思っています。
 ただし、後見人が勝手に委託された財産を処分し、私腹を肥やす事例が、最近多く報告されています。
 その様な事態を避けるためには、どの様な点に気を付けたら良いでしょうか。アドバイスをお願いします。
回答
【はじめに】
 私たち尊財会が、一番大切だと考えるのが、本人であるあなたの意思です。
 つまり今後の人生設計を実現するための仕組みを構築することが重要です。
  これには、次の3つのポイントがあります。
 @ あなたの将来の人生設計を描くこと A 判断能力が低下した場合にあなたに代わって意思決定してくれる人を
 決めておくこと B 代理人があなたの財産を横領することを防ぐための仕組みを予め準備しておくこと
 それぞれについて、簡単にコメントします。
【人生設計について】
  最近「エンディングノート」が普及しています。
 エンディングノートは、これまでの生き方を振り返り、今の状況を確認し、将来の生き方を考える機会になるもの
 です。
 エンディングノートには、財産の状況はもちろんのこと、介護が必要な状況になった場合にどのようなサポートを
 受けたいか、またどこで暮らしたいか、加えて終末期医療に対する考え方などを書き込みます。
 誰もが頭の中で漠然と考えていることですが、エンディングノートなどを参考に、将来の生き方・暮らし方を
 書き出して文章にしてみることが大切です。
【意思決定の代理人について】
  法定後見人は、本人の判断能力が低下した場合に、本人あるいは本人の親族等の申出により、家庭裁判所によって
 選任されるものです。
 家庭裁判所の後見人の選任には本人の意思がほぼ反映されず、本人と面識のない第三者が選任されるケースが
 増えています。
 一方で任意後見人は、本人の判断能力が低下した場合に、本人に代わって意思決定をしてくれる代理人という
 立場で、本人が指名することが可能です。
 事前に将来の認知症対策として準備をしておくという点からは、あなたの価値観や希望をよく理解した後見人を
 自ら選ぶことができる任意後見制度の利用が有効な選択肢になります。
【財産管理の仕組み】
 後見人の役割は、身上監護(本人のために生活・医療・看護に関する契約や手続きを行うこと)と財産管理であると
 いわれています。
 ご懸念のように、後見人による財産管理の現場では、後見人自らの財産と被後見人(支援を受ける側の本人)の
 財産が混同され、横領事件などが起こっていることも事実です。
 後見人による財産管理は必要ですが、後見人が勝手に(本人の意思に反し)管理や処分できないように、
 後見人制度の利用と併せ信託の仕組みを活用する方法が増えています。
 例えば、信託銀行が提供する「後見制度支援信託」ですが、これは家庭裁判所の指示に基づき現金や預貯金を信託で
 管理するものです。
 後見制度支援信託は、信託の対象が現金や預金に限られること、これまで取引のあった銀行の預金を「信託銀行」に
 移さなければならないことなどが注意点です。
 一方、不動産の信託の受託を専門とする「信託会社」もあります。この信託の仕組みを活用することで、不動産管理
 ・処分を専門家に任せるとともに、相続対策の着実な実施や、二次相続以降の財産承継者の指定も可能になります。
  また、信託契約を専門家との間で締結するのではなく、家族間で締結する「家族信託」も増加しています。
 この場合、信託の対象とする財産に特段の制約はありません。

事例4

ご相談者
 70代 男性
 現在、認知症を患っている方の、親族及び近親者の方
お問合わせ内容
 故郷に暮らす90歳の従姉妹の財産管理についてのご相談
詳細
 従姉妹は、既に他界した両親の世話をして、最期を看取り、今日まで未婚で来ました。
 弟・妹はそれぞれ都会に住んで存命ですが、この間両親の世話をすることはあり ませんでした。
 そんなこともあり、亡くなった両親の遺産はすべてこの従姉妹が相続し、相続は確定しています。  
 本人の希望は、「財産(預金・不動産等数億円程度)を、私(相談者)の子どもの誰 かに相続させることを前提に、
 今後を看取ってもらい、家の流れ(?)も絶やしたく ない。」と云うものです。
 そんな中、帰郷の折、近所の婦人が家事の手伝いとのことで出入りして不審に思っ ていたのですが、
 先日、「彼女に財産すべてを相続させる。」と云う内容の遺言(公 正証書)を見つけました。本人に問い質した
 ところ、今でははっきり覚えていないよ うです。(なお、本人は暫く前から「要介護1」の状態です。)
 私の子どもの中には、彼女の面倒を見て相続もする、と云う気のあるものも居るの ですが、彼女の今後の
 「財産管理」について、養子縁組、遺言等も含めてどのように 準備すればよいものでしょうか?
 ご教示を、宜しく御願い致します。
回答
 本件は、(1)公正証書遺言の処理、(2)ご本人の生活維持、(3)相続、(4)財産管理の4つを考えなければ
 なりません。
 まず、公正証書遺言は、作成時に公証人がご本人の意思を確認のうえ作成しますので、ご本人であっても後から
 その有効性を否定することは困難です。
 もっとも,遺言書は後に作成されたものが常に有効とされますので、ご本人が希望される場合は、新たな遺言書を
 作成することをお勧めいたします。
 なお,遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言という種類がありますが、遺言はいずれの方法でも
 行うことができます。
 しかしながら、遺言書は、形式的要件を欠き無効となりますので、間違える可能性の低い公正証書遺言を
 作成されるのが良いでしょう。
 ご本人の生活維持は、本人の生活リズムやご本人がご自分でどこまでできるのか等を見極めながら、必要な支援を
 する必要があります。
 お一人で全部を担うのは困難でしょうから、ご本人の居住する地域の社会福祉協議会、地域包括センター等に
 ご相談され、アドバイスを受けながら、進めるのが良いでしょう。
 また、徘徊の恐れがある場合等は、地元の警察署の安全課にご相談される等する他、老人ホームへの入所も
 ご検討ください。
 相続のお話は、財産的側面だけで考えると、遺留分の問題が本件はありませんので遺言書を作成することをもって
 解決はします。
 しかしながら、ご本人の生活に関する手配、ご連絡等のお話もありますので、ご本人と良くお話のうえ、養子縁組を
 されることも一考と存じます。
 なお、養子縁組は、役所に届出を提出すれば成立します。
  財産管理は、大きく分けて、法定後見と任意後見の方法があります。
 法定後見には、ご本人の判断能力に区分された成年後見、保佐人、補助人の制度があります。
 任意後見には、裁判所に申し立てる任意後見監督人の制度と本人と契約を締結する任意後見契約等があります。
 いずれの方法にも長短がありますので、事案毎に判断する必要があります。
 一度、弁護士等の専門家にご相談されると良いでしょう。
 なお、一度、成年後見人等の審判が下されると、ご本人が亡くなるまでの間、原則としてその審判が取り消される
 ことはありませんので、十分ご留意ください。
 制度の長短をご理解のうえ、ご本人にとって何が一番良い方法かということについて、慎重に検討する必要が
 あります。

事例3

ご相談者
 女性
 ご本人の認知症への、将来の備えをされたい方
ご相談内容
 将来自分の財産管理ができなくなる場合に、どう備えたら良いか教えて欲しい
詳細
 数年前に亡くなった主人に続いて、今度は、昨年、両親が相次いで亡くなり、一人っ子であった私はその遺産相続を
 受けましたが、その将来的な使い方につき、大変不安になってまいりました。それは、自分自身が認知症になった
 際に、どうやってそれが管理されるかです。
 幸いにも二人の子供に恵まれましたが、厳しい就職環境であったため、希望していたような職種につけず、それぞれ
 家庭は持ちましたが今なお経済的に不安定な状況にあります。
 一方、私は相続を受けた財産については、自分自身が遣う分はたかが知れていると考えておりますから、それを
 差し引いた残りの半分については子供たちに時間をかけて贈与+相続を、そしてその残りの半分は、長年にわたって
 思いを募らせていましたが、なかなか実現できなかった社会貢献に遣いたいと思っています。私も公務員でしたが、
 ずっと働いてきましたから、いろいろ具体的な案もあります。自分が死ぬまで、それを生きがいにしようと考えて
 います。
 ということを社会常識のある親しい友人たちに話をしたら、認知症になったらどうするの?、子供たちはおそらく
 後見人になれないわよ、家裁が決める見も知らない人があなたの財産をその人の常識で管理されてしまうのよ、
 不動産があるとトラブルが多いっていうけど大丈夫?子供たちが相続で揉めるかもよ、あなた自身が何もわからなく
 なるわよ、あなたが思っていることとまったく違う形で財産が管理されていくことになりかねないわよ等々、指摘
 され、愕然としてしまいました。
 主人には先立たれ、個人情報を固く守り、そうした分野に明るく、公平な観点で話をしてくれるような人は周りには
 なく、今からどういう準備をしていけばよいのか途方に暮れています。少しでもいいですから、何か教えて
 いただければと思い質問させていただきました。
回答
 ご質問いただいた件ご回答いたします。
 下記に述べさしていただくのはあくまでも一種の見解であり、必ず 専門家である司法書士や関係諸機関にご相談
 ください
  まず第一に ご家族を成年後見人にしたいのでしたら任意成年後見人制度が利用できると思い ます。
 これは法定の成年後見人制度ではなく 任意に設定できますので、家庭裁判所の選任によらず自由に後見人をK様で
 決 定できます。
 ですので二人のお子さんのいずれか若しくは両者、若しくは K様が信頼の出来る方にご依頼してはいかがでしょうか
  どこまでの後見事務を委任するかは話し合いで自由に決めることができます。 また第二に ご質問を読む限り
 家族信託という制度が活用できる可能性があります これは家族による財産管理・承継の新たな方法で、認知症に
 なる前に 家族信託を組めば、万が一認知症を発症しても生前贈与や不動産活用などの相続 対策が可能とされて
 います。
 後見人制度は、資産を組み替えたり運用したりできません。後見人はあ くまでも財産を守ることが役目だからです。

事例2

ご相談者
 40代女性
 現在、認知症を患っている方の、親族及び近親者の方
ご相談内容
 父の判断能力が鈍ってきており、財産の多くを占める株の管理が、難しくなってきた。
詳細
 父が80歳になり、健康上の問題は無く元気なのですが、次第に記憶力や判断力が衰えてきました。
 現役の頃は、預金や株、投資信託などの財産管理を、父自身で行っておりましたが、最近は自分で判断することが
 できなくなっています。
 代わって、76歳の母がすべてを管理しており、将来の不安が無いだけの蓄えがあるのですが、何故か父は財産の
 管理に心配があるらしく、母が何度説明しても、心配が払拭されないようです。
 特に株のことを気にかけていて、先日も唐突に証券会社に電話をして、全て売却するよう指示をしてしまいました。
 先方も、うまく会話のかみ合わない老人からの電話一本でしたので、売却せずにいてくれたため、大事には至り
 ませんでしたが、証券会社に趣旨のよく分からない問い合わせの電話をしたりといった出来事は、何度も起きている
 ようです。

 このままでは、不要なタイミングで、本当に株が売却されてしまうといった事態も起きかねないので、思い切って
 証券会社には、父の状態を説明して、父からの指示には従わない、もしくは母に確認を入れてもらうようお願い
 しては、と母に進言しました。
 でも、母によると、本来株は名義人本人の指示でないと売買されないもので、寧ろ本人に判断力が無いとなれば、
 後見人でもつけない限り、誰も触れなくされてしまうため、証券会社にそんな話はできない、と言われました。
 両親の財産のうち、父名義の株や投資信託など、証券会社に預けている証券類が、かなりの割合を占めています。
 母も76歳とすでに高齢で、それらの財産を前提に、父と二人の最後の生活設計を立てているところです。
 家族が管理できない状態になってしまうのは困りますが、証券会社に本音で相談できないというのも気持ちが悪く、
 子の立場としては、大変気をもんでおります。
 こういった際には、証券会社とはどのようなスタンスでお付き合いしていくべきか、有効なアドバイスがあり
 ましたら、ぜひご教示いただければと思います。

回答
 記憶力や判断力が衰えてこられた父と財産(株や投資信託)のかなりの割合を預けている証券会社との取引について
 不安があるので、証券会社とどのようなスタンスで付き合えばいいかというご質問です。

【はじめに】
 私たち尊財会が、一番大切だと考えるのが、本人であるお父上の意思です。
 つまり父に対し、お母上と築いた二人の金融資産を、今後どのように使いたいのかを確認し、その意思を確実に
 実現する為の仕組みを構築することが重要です。

【後見人等の選任について】
 一般的な方法としては、後見人等の本人に代わって取引を行える立場の人を選任することです。後見人等の選任に
 より、本人が直接金融機関と取引することが制限される場合もありますので、後見人等の選任に関するメリット・
 デメリットを本人に説明し、本人の同意をとることが大切です。
 認知症の症状では、その方本来の判断能力がある時間とそうでない時間がまだら模様のように訪れます。後見人等を
 選任することは、本来の判断能力がない時間帯に、証券会社の意向で本人の意思に沿わない取引が行われることを
 防止するという効果もあります。
 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。法定後見制度は、本人の親族等の申立により、家庭
 裁判所が本人を保護する者(法定後見人等)を選任する制度です。この制度では、母が懸念されている通り、本人の
 親族を後見人として推薦したとしても、多額の金融資産を保有する方の場合、家庭裁判所は推薦された親族ではなく
 司法書士や弁護士のような専門職後見人を選任する傾向が強くなります。家庭裁判所が選任した専門職後見人は、
 それまで本人と面識がない場合がほとんどであり、後見の申立を行った親族等から、見ず知らずの他人に本人の
 意思を尊重した後見活動が可能なのかという疑問が呈せられる場合もあります。

【任意後見制度の活用について】
 一方、任意後見制度においては、本人を保護する者(任意後見人)を任意後見契約で自由に決めることができます。
 事前に締結された任意後見契約に基づき、本人の判断能力が不十分になった段階で、任意後見受任者(将来の任意
 後見人)等が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、家庭裁判所の任意後見監督人の選任をもって、この
 任意後見契約が発効します。この任意後見契約の発効により、任意後見受任者は任意後見人となります。なお家庭
 裁判所が選任した任意後見監督人は、任意後見人を監督する役割を担います。
 任意後見制度では、本人の判断能力が不十分になる前に、財産管理の方針等を任意後見受任者との間で共有する
 ことが可能であり、法定後見制度に比べて本人の意思を尊重することが可能な制度であると考えます。
 また任意後見契約と同時に財産管理委託契約を締結し、本人の財産管理の基本方針を明確にしたうえで本人とともに
 受任者が本人の財産管理を行うことも可能です。そのうえで、本人の判断能力が不十分になったと判断された
 タイミングで、任意後見契約を発効させ、任意後見人が本人に代わって財産管理を引き継ぐことができます。

【最後に】
 証券会社との取引については、過度に証券会社の善意に期待するのではなく、本人側も体制を整え証券会社と取引
 することが肝要であると考えます。

事例1

ご相談者
 50代女性
 現在、認知症を患っている方の、ご家族
ご相談内容
 母の後見申立てを家庭裁判所に行ったところ、推薦した兄ではなく、弁護士が選任された。
 母が相続対策で保有しているマンションの管理・運営が適切に行えるか不安である。
 このような状況に対応した参考事例はないか。
詳細
 母は有料老人ホームに入居しており、認知症の症状としては軽度から中等度である。
 父は7年前に逝去し、家族は母と相談者、そして相談者の兄のみ。兄には妻と娘が一人いる。
 母名義で都心にマンションを保有しており、これは相続対策として20年ほど前に建築したものである。
 昨今の金利低下を受け、ローンの借り換えを計画した。認知症の母では、契約当事者になれないことから、
 母に代わって相談者の兄が法定代理人となって銀行とローン借り換え契約を進めようと考えた。
 兄は後見申立てを家庭裁判所に行うとともに自身を後見人として推薦したが、裁判所は被後見人の資産が多いこと
 から弁護士を後見人に選任した。後見人に選任された弁護士からは、母の財産目録作成のために母名義の通帳・
 印鑑はじめすべての財産を提出するようにいわれている。
 また後見人の弁護士から、母に挨拶したいといわれたが、見ず知らずの赤の他人が自分の後見人となったなどと
 告げたら母が卒倒するかもしれず、断っている。
 後見人に指名された男性弁護士が自ら対応することは少なく、主に同僚の女性弁護士が対応しているが命令口調で
 なかなか話がかみ合わない。
 マンションは大規模修繕の時期に来ており、日々の入出金管理や細かい修繕などは主に相談者が対応している。
 相談者も当該マンションに居住している。弁護士にマンションが適切に管理・運営できるか不安である。
 また母はマンションを建築する際に周辺住民に周辺環境に配慮したクオリティの高いマンションにすると約束して
 いるが、そういう価値観での管理が行われるかも心配である。
 現在、マンション管理等でお世話になっている会計士から紹介をうけた弁護士とも相談している。
 一度選任された後見人を変更することは困難であるということは知っているが、何か打つ手はないか。
回答
 家庭裁判所が選任した後見人を変更することは、容易でない。民法の規定では、後見人の解任について、後見人に
 不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があった場合に限り、家庭裁判所が解任することが
 できるものとしている。
 選任された後見人の変更を検討するより、被後見人の価値観を丁寧に後見人に説明し、理解を求めることが肝要で
 ある。
所見
 後見人が必要となり、特定の人物を後見人に就けることを親族や関係者で合意している場合は、家庭裁判所への
 申立による「法定後見制度」を利用するよりも、契約に基づく「任意後見制度」を利用した方が、後見人にしたい
 人物をより確実に後見人に就けることが可能である。
 なお家庭裁判所の後見人選任基準は、その時代の社会的な要請や地域差などから画一的なものでなく、専門家に相談
 することが望ましい。
 一般に本人の価値観を最もよく理解している存在が身近に暮らす親族であり、本人の尊厳を護るという意味から
 親族が本人に代わる意思決定者にふさわしいと考えられる。しかし、本人が大きい財産を保有する場合、特定の
 親族が法定後見人になると、その後の相続発生の時点で後見人の財産管理が適切であったか否かについて、相続人
 間でトラブルになるケースも多い。このような背景もあり、昨今、家庭裁判所が親族後見人を選任する割合は激減
 してきている。
 後見人は本人の権利保護を優先することから、認知症発症前に相続人のために開始した相続対策についても、当初の
 本人の希望通りに遂行されるとは限らない。認知症発症前に相続対策として財産を「信託」しておき、認知症発症後
 も、信託により相続対策を継続するという選択肢もある。

尊財会

一般社団法人
個人の尊厳を護るための財産管理を
考える会

〒100-0011
東京都千代田区内幸町1-1-1
帝国ホテル本館602

Email   info@songen.org